AIが文章を書いたり、絵を描いたりする。そんなことが当たり前のようにできる時代になってきました。
でも同時に、こんな声もよく聞きます。
「AIが作ったものって、著作権はどうなるの?」
「勝手に使って大丈夫なの?」
「もし何かに似てたら…やっぱりマズいの?」
生成AIに関する著作権の問題は、まだ法律の整備が完全に追いついていない“グレーな部分”も多いのが現状です。
この記事では、「生成AIと著作権」についての基本的なポイントをやさしく解説していきます。
一緒に、AIと上手につきあうヒントを見つけていきましょう!
※当ブログでは、できる限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、その内容の正確性・安全性・最新性を保証するものではありません。
そもそも著作権ってなに?
「著作権」という言葉、なんとなく聞いたことはあっても、「具体的にどういうもの?」と聞かれるとちょっと困ってしまいますよね。
でも実は、私たちが日常で何気なく作っているものにも関係のある、とても身近な権利なんです。
著作権は「作った人を守るためのルール」
著作権とは、自分で創作した作品(=著作物)を守るための法律上の権利のこと。
文章・イラスト・音楽・写真・動画など、「自分の頭で考えて表現したもの」には、自動的に著作権が発生します。
ポイントは、「申請しなくても最初から権利がある」というところ。
誰かに勝手に使われたり、コピーされたりしないように守ってくれるのが、著作権です。
どんなものが著作権の対象になるの?
著作権の対象になる「著作物」は、主に以下のような“創作的な表現”です。
- 小説・詩・エッセイなどの文章
- 絵・イラスト・マンガ・写真
- 音楽や歌詞
- 映像や映画
逆に、アイデアそのもの(たとえば「宇宙を旅するネコの話」などの発想)は著作権の対象ではありません。
あくまで“表現のしかた”に対して発生する権利なんですね。
生成AIはどんなふうに「学習」してるの?
生成AIは、インターネット上にあるたくさんのテキストや画像を使って学習をしています。
たとえば、文章生成AIはニュース記事やブログ、小説などのテキストを、
画像生成AIは写真やイラストを使って「こういうパターンがあるんだな」と学びます。
これは、私たち人間がたくさん本を読んだり、絵を見たりして学ぶのと似ています。
学習に使った素材の出どころ
ここで問題になるのが、「その学習に使われた元データって、ちゃんと許可を取ってるの?」という点です。
実は、AIの学習に使われるデータの中には、著作権のある作品も含まれている可能性があります。
- 商用イラスト
- 有名な小説の一部
- 写真家が撮った作品
など、これらが無断で使われていた場合、「著作権を侵害しているのでは?」という議論が起きるのです。
現在の法律では「学習目的ならOK」の扱いも
日本では、著作権法に「情報解析(データマイニング)のための利用は、著作権者の許可がなくてもOK」というルールがあります。
この解釈によって、「AIの学習はセーフ」とされることも多いのが現状です。
ただしこのルールは、AIがどこまで何に使われるのかによっては見直しが必要、という声も出ています。
つまり、「法律上は今はOKでも、モラル的にはどうなの?」という疑問が残るケースもあるんですね。
AIが作ったものに著作権はない?
ここが、生成AIに関してよく話題になるところです。
まず、基本的なルールとして、
“人間以外”が作ったものには、著作権は認められないとされています。
たとえば、AIに「かわいいネコの絵を描いて」とお願いしてできたイラストには、“人間が創作した”とはいえないという理由で、基本的には著作権が認められないとされています(2025年現在の日本の法律では)
だからといって、「自由に使っていい!」というわけではありません。
生成AIの利用規約や出力ルールによっては、制限がある場合もあるからです。
自分で操作して作ったら「自分の作品」になる?
では、「AIにこうして、ああして…」と自分で工夫して細かく指示を出して作った作品はどうでしょうか?
この場合、人間の“創作的な関与”があったと認められれば、著作権が発生する可能性があります。
- 絵の構図や色合いを具体的に指定した
- 何度も出力を調整して、自分のイメージに近づけた
- 複数のAIツールや画像編集を使って仕上げた
こうした“人の手と頭”がしっかり入っていれば、「これはあなたの著作物です」と認められることもあります。
「著作権侵害」になってしまうのはどんなとき?
AIを使って作品をつくるのはとても楽しいことですが、知らず知らずのうちに「著作権侵害」になってしまうこともある――というのが、ちょっと怖いところです。
では、どんなときに“アウト”になる可能性があるのでしょうか?
ここでは、いくつかの代表的なケースをご紹介します。
「そっくり」すぎる作品を作ったとき
たとえば、画像生成AIに「ジブリっぽい絵を描いて」とお願いしたとします。
すると、あの有名キャラや絵柄に“そっくり”な作品が出てくることがあります。
これをそのままSNSに載せたり、商品に使ったりすると、「著作権(または著作人格権)や商標権の侵害」として問題になる可能性があります。
- 有名なアニメやキャラクター
- 人気のあるアーティストの作風
- 商業作品に使われている特定のデザインや世界観
などは、マネしただけでも“グレー”ではなく“アウト”になることがあるので注意が必要です。
無断で「誰かの著作物」を学習に使ったAIを使うとき
あなた自身がAIに学習させていなくても、そのAIが他人の著作物を無断で学習していた場合、
AIの運営元が著作権侵害に問われる可能性があります。
ただし、そのAIを使ったユーザー(=あなた)にも責任が及ぶのか? という点については、
現時点では法律上の見解が分かれており、はっきりしていません。
今後の法整備や判例によって変わってくる可能性もあります。
また、画像生成AIの中には「i2i(image to image)」という、アップロードした画像をもとに新しい画像を生成する機能があります。
このとき、元画像に著作権がある場合、その使用方法によっては著作権侵害にあたるおそれもあります。
AIで作ったものを「自分の完全オリジナル」として売った時
生成AIで作った作品を、自分で描いたように見せて販売したり、コンテストに応募したりすると、
ルール違反になるケースもあります。
- 人が作った作品限定のイラストコンテスト
- 自作・未発表作品のみと書かれた同人イベント
- 商業出版や広告案件など
こういった場では、AI利用の有無を明記する必要があったり、そもそも使用不可のことも。
「AIを使っていないフリ」をするのはトラブルのもとなので、正直に伝えるようにしましょう。
AIと著作権、こわがらずに向き合おう
ここまで読んでくださった方は、
「けっこういろいろルールがあるんだな」と感じたかもしれません。
でも実は――
今の日本の法律では、生成AIに関することはまだ“はっきり決まっていない”部分が多いんです。
著作権法はもともと「人間が創作すること」を前提に作られたルール。
そのため、「AIが作ったもの」や「AIに学習させること」が前提の法律にはなっていないのが現実です。
また、生成AIに対するルールは国によっても考え方が違います。
たとえばアメリカでは、AI作品の著作権を明確に認めない方針を打ち出していますし、
ヨーロッパでは、AIの透明性や著作権保護を強化する法律が検討されています。
日本でもこれから、法律の整備やガイドラインの見直しが進んでいくと考えられています。
つまり、「今はグレーだからOK」ではなく、
「変化の途中にいるんだ」と意識しておくことが大切なんですね。
今はまだ法律が追いついていない部分もありますが、
「これは大丈夫かな?」
「誰かが不快に思わないかな?」
そんなちょっとした気配りが、安心してAIとつきあっていくカギになるでしょう。